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本のレビュー:野口勲「タネが危ない」より、作物の種について考える

time 2017/01/25

本のレビュー:野口勲「タネが危ない」より、作物の種について考える

相変わらず寒い日が続いています。今日の宗像は晴れているのですが、午前中はずっと底冷えしていました。
寒さのピークということで、畑にはゆっくりとした時間が流れております。

さて、今日はこの本のレビューをさせて頂いて、そこから私の種に対する考え方を述べてみたいと思います。


タネが危ない

この本は2011年の9月に初版されています。
私が初めて読んだのは、鹿児島で有機農業の組合に在籍していた頃ですので5~6年前です。おそらく、発売されて間もない時に読んでいます。

この本の著者の野口勲氏は、在来種、固定種、全国各地の伝統野菜の種の種苗店、野口種苗研究所の代表の方です。
私も自家採種が前提の作物を栽培するときは、よくオンラインショップを利用させて頂いています。

本の内容ですが、
・著者がタネをネットで販売されるようになるまで
   ↓
・ミトコンドリアについて
   ↓
・作物のタネ市場は固定種が消えていっており、代わりにF1種が席巻している
   ↓
・F1種はどのように作られているのか
   ↓
・F1種への問題提起
と、このように進んでいきます。

著者のルーツや科学的な内容がミトコンドリアの箇所まであります。ここはこれからの話を理解するために重要な箇所になります。

それからは、固定種とF1種の話になります。
固定種のことが分からない方は、是非この記事も読んでみて下さい→固定種って何?簡単にまとめてみた

著書で説明されている固定種とF1の違いを簡単にまとめると…

固定種はF1種の存在しない時代から存在するタネ。毎年味や出来の良い作物からタネを採り続けることで、遺伝的にも安定しているタネ屋自慢のタネ。収穫出来る作物の形、時期は不揃いなので、大量生産、流通に向かない。
F1種は作物の大量生産、流通に適したタネで、異なる性質のタネを人工的に掛け合わせた雑種。収穫時期、形が見事に揃う。雑種強勢という力が働いているので生育が早まり、収穫量も上がる。代わりに、味はあまり重視されていない。
と言う具合です。

それから、F1種をどのようにして人工的に作っているのかという話になります。

もっとも原始的な方法は「除雄」という方法です。
簡単にこの方法の説明をすると、タネが出来てほしい花の雄(お)しべを全て取り除いて、そこに掛け合わせたい株の花粉をミツバチなどで受粉させます。
一つの株の花の雄しべを全て取り除く。これって気の遠くなるような作業です。

他に、アブラナ科のF1種を自家不和合性という方法を使って作る方法や、もっと効率良くF1種を作るために、二酸化炭素を用いて植物の生理を狂わせて無理やり自花受粉させて採種する方法が紹介されています。

それが近年では、「雄性不稔」という方法でF1種を作る方法が増えているとのことです。
「雄性不稔」とは読んで字の如く、雄が稔(みの)らないということです。

たまたま見つかった突然変異(著書ではミトコンドリアの異常という説明)を起こして雄しべの無い花から採種したタネを蒔くと、その株の花には全て雄しべがありません。

その株を更に増やして、掛け合わせたい雑種の株(雄しべあり)を隣に植えれば、雄性不稔の株から大量にF1種が作れます。
ですので、雄性不稔の花が見つかった作物の株からは楽にF1種が作れる様になったのです。

そして、今度は雄性不稔の花が見つかっていない作物にも応用が効くようになっていきます。
それが同じ科同士の作物を、先程の二酸化炭素を使って生理を狂わせる方法で無理やり受粉させてしまう方法です。

著書では同じアブラナ科でも属違いで普通は受粉しないキャベツと大根をこの方法で受粉させてしまって、キャベツの雄性不稔の遺伝子を大根にも持たせることによって大根の雄性不稔の株を作り上げる例が紹介されています。
こうして雄性不稔の花で作られている作物は野菜だけはでなく、お米や砂糖の原料のてん菜等、食品全般に広がっているということです。

そしてここからF1種の問題提起に入っていきます。

まずは2007年に頃から世界各地で起きているというミツバチ大量失踪事件(CCD)についてです。
原因は未だ不明とのことなのですが、著者はF1種を作る現場でのミツバチは大量の雄性不稔の花から蜜を取ってくるので、オスのミツバチが無精子症になってしまっているのではないかという仮説を述べられています。

だとすると、最近問題になっている人間の男子の精子が毎年少しずつ減っている現象や、草食系男子の現象も、雄性不稔と関係があるのではないだろうか?
仮説だけれども、どなたかに検証をして頂きたいと。
非常に興味深い問題提起をされています。

さらに遺伝子組み換え作物や、今後普及するかもしれない購入したタネの自家採種を不可能にする「自殺するタネ」の技術への問題提起をされています。

タネ屋が、自分達のお金儲けのためにそこまでやってしまって大丈夫なのか?

皆さん、是非ご一読ください。


送料無料/タネが危ない/野口勲

~~
最近この本をもう一度読んでみて、毎年こつこつと、できる作物だけですが自家採種をしてきて本当に良かったなと感じています。

無精子症の箇所は非常に強く印象に残っていますが、あくまでも仮説で、検証されてみないことには本当のことは分かりません。
ですので、仮説を信じ込んで先を憂え過ぎるのは良くないと思います。

ただ、できる方がいつの日か検証してみて頂きたい仮説だなと思います。
そこで私は現状のみで考えてみました。

私達は毎日の普通の食事の中で、雄性不稔の花を持つ作物から出来た多くの食品を食べている。

という状況はおそらくこの本から認識できると思います。

気持ちよくはないです。突然変異の遺伝子を毎日たくさん食べている可能性がある訳ですので。

ですが、F1種が良くないとか、止めた方が良いとか言うのはまだ先走った話だと思います。
改めて今後もこつこつ、繋げるタネは繋いでいこうと思いました。

そういう人が、日本中に、世界中に何人か(何万人も何億人もいるかも…)いた方が、将来のために良いのではないかと思うのです。

そしてこのブログを読んで下さっている皆さんには、著者の様な問題提起をされている方がいらっしゃるのだなと頭の片隅に置いておいて頂けると嬉しく思います。

それでは今日はこの辺で。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました!!

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