2019/05/17

1月28日(土)、29日(日)の二日間、山口県で開催された「第24回 九州・山口有機農業の祭典in山口」に参加して来ました。
私は都合のために28日(土)のみの参加でしたが、非常に有意義で楽しい祭典でした。
この祭典は、毎年九州山口の各県の有機農業の協会が持ち回りで開催しています。
近年では一昨年が大分県、去年は佐賀県で開催されており、来年は福岡県で開催される予定になっています。
私は昔、鹿児島県の有機農業の組合で働いている時にもこの祭典に社員として参加するという素晴らしい機会を頂けました。それを含めて、今回が四回目の参加になります。
画像は祭典の基調講演中の一コマで、哲学者の内山節氏の講演が行われています。
私はこの基調講演を毎回非常に楽しみにしています。
今回の講師の内山節氏は、恥ずかしながら全く知らない方でした。
講演後に講師の著作の多さを知って、さすが、これは面白いはずだと思いました。
印象的だった部分をちょっとだけ掻(か)い摘(つま)んで紹介してみます。
講演は、講師が年間の3分の1程暮らしておられる群馬県上野村の話を中心にして進んでいきます。
この上野村、明治時代に入るまではほとんど非課税地帯だったようなのです。
原因は村の面積の九割程が森林で、水田は皆無、木材を納めさせようにも輸送費の方が大きくなってしまい、どの支配者からも忘れられてしまう地域であった為のようです。
ですので村の方々の視点が面白いのです。
40年近く勤められた村長さんが、高度経済成長期の真っ只中に村内放送で「こんなものは長くは続かない。」みたいなことを話される話。
村内では「仕事」と「稼ぎ」を違う意味で使用するが、例えば同一人物が畑仕事をするとして、場合によってそれが「仕事」(地域の持続の為)にも「稼ぎ」(経営から始まる)にもなる話。
そこから、講師の労働に対する捉え方を
・狭義の労働→近代労働(生産のための労働、経済やGDPの為)
・広義の労働→(上記以外の労働)
と分けて、農業の話に。
農業という仕事は非常にデザインをし易いのではないか?
デザインの語源はギリシャ語で、元々は思想を形にするという意味であったそうです。
ですので、農業を経済だけではなく、地域や生活等色々なものを統合してデザインしていく必要があるのではないか?
といった感じです。
私は25歳の時に(今34歳です。)いつの日か農業を生業にしたいと心を決めた部分がありました。
ですがそれは感覚的で、何故かと聞かれても今でもしっかりと説明できません。
その私の感覚的な部分の数箇所をこの講演で形にして頂けました。
それによって自分の中の理解がまた一つ深まったように思い、自信が湧いてきました。
後日、内山先生の著作も拝読してみたいと思います。
~~
基調講演の後も祭典は続きますが、次回の記事でまた紹介したいと思います。
ところでこの祭典、毎年二十四節気の「大寒」近くの日取りを選んで開催されています。
その理由は、この時期が一番有機農家の参加率が高いからなのだそうです。
私も最近収穫量が上がらず我慢の日々を送っていますが、他の有機農家さんも多かれ少なかれ仕事が減る時期であるということで少し安心しました。(苦笑)
こんな時期に素晴らしい講演を聴いて考えを深める。大変有意義な事だと思います。
毎年このような生活が出来る様、「まずはしっかり家計を支える事の出来る様に頑張ろう!」と心の中で大きな刺激を受けたのでした。
次回は私が参加した分科会の様子を紹介したいと思います。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。